ATOK for LinuxやATOK X for Linuxがインストールされていた環境にATOK X3 for Linuxをインストールすると、旧バージョンのATOKはアンインストールされますが、ユーザーごとの辞書や設定データは削除されません。コンバートツールを使って、それまで使用していた旧バージョンのATOKのユーザー辞書や、キー・ローマ字設定をATOK X3 for Linuxに引き継ぐことができます。
※旧バージョンのATOKが別のコンピュータにある場合は、引き継ぎたい辞書ファイルやスタイルファイルを別のコンピュータからコピーして、コンバートツールを使用します。
それぞれの場合に応じて操作します。
I 旧バージョンのユーザー辞書を引き継ぐ
▼注意
引き継ぐことができるのは、旧バージョンのATOKのユーザー辞書と、辞書ユーティリティで作成した辞書です。標準辞書など製品に添付されていた辞書は引き継げません。
■操作
【旧バージョンのユーザー辞書をコンバートする】
- 日本語を使用できるターミナルで次のコマンドを実行します。
$ /opt/atokx3/bin/atokx3diccvttool▲-o▲<変換元辞書ファイル名>*1▲-n▲<変換先辞書ファイル名>*2 ※「▲」は半角スペースを表します。スペースキーを1回押してください。
※オプションを指定して変換先の辞書タイトルや辞書説明などをつけることができます。指定する引数については、「◆補足」を確認してください。
*1旧バージョンのユーザー辞書のファイル名を絶対パスまたは相対パスで指定します。旧バージョンのユーザー辞書はそれぞれ次の場所にあります。
- ATOK for Linuxの場合
/var/opt/atokx2/users/<ユーザー名>/
- ATOK X for Linuxの場合
/var/locale/ja/atokserver/users/<ユーザー名>/
*2ATOK X3 for Linuxのユーザー辞書のファイル名を任意の絶対パスまたは相対パスで指定します。
- ATOK for Linuxの場合
【コンバートしたユーザー辞書を変換に使用できるように設定する】
- ATOK X3 for Linuxを使用するユーザーでOSにログインします。
- コンバートした辞書ファイルを下記ディレクトリへコピーまたは移動します。
$HOME/.iiim/le/atokx3/users/<ユーザー名>/
※$HOMEは、各ユーザーのホームディレクトリです。
【例】ユーザー名が「taro」ホームディレクトリが「/home/taro」の場合
/home/taro/.iiim/le/atokx3/users/taro/ - コンバートした辞書の所有者がログインしているユーザーになっていない場合は、所有者を変更します。
- ATOKパレットの をクリックし、基本のメニューから[プロパティ(環境設定)]を選択します。
- [辞書・学習]シートを選択し、[学習]の[詳細設定]をクリックします。
[学習・登録詳細設定]ダイアログボックスが表示されます。
- [ユーザー辞書]の右側の[参照]をクリックします。
[辞書ファイルの参照]ダイアログボックスが表示されます。
- ファイルの一覧から手順2.でコピーまたは移動したユーザー辞書を選択し、[OK]をクリックします。
[学習・登録詳細設定]ダイアログボックスに戻ります。
- [OK]をクリックします。
[辞書・学習]シートに戻ります。
- [OK]をクリックします。
◆補足
旧バージョンのユーザー辞書をコンバートするとき、以下のような引数を指定することで辞書のタイトルや説明文をつけることができます。必要な項目を追加してコンバートを行ってください。
※下記文中の「▲」は半角スペースを表します。
- -ts▲<変換先辞書タイトルの文字列>
変換先辞書の辞書タイトルの文字列を全角32文字以内、半角64文字以内で指定します。
※-tfオプションと同時指定はできません。
※-ts、-tf両方を省略した場合は、変換元辞書の辞書タイトルと同じになります。
- -tf▲<変換先辞書タイトルの記述ファイル名>
変換先辞書の辞書タイトルを記述したテキストファイルのファイル名を、絶対パスまたは相対パスで指定します。ファイルの文字コードはUTF-8のみ有効です。
※-tsオプションと同時指定はできません。
※-ts、-tf両方を省略した場合は、変換元辞書の辞書タイトルと同じになります。
- -gs▲<変換先辞書説明の文字列>
変換先辞書の辞書説明の文字列を256文字以内で指定します。変換元辞書がユーザー辞書の場合のみこの指定が有効になります。
※-gfオプションと同時指定はできません。
※-gs、-gf両方を省略した場合には、変換元辞書の辞書説明と同じになります。
- -gf▲<変換先辞書説明の記述ファイル名>
変換先辞書の辞書説明を記述したテキストファイルのファイル名を、絶対パスまたは相対パスで指定します。変換元辞書がユーザー辞書の場合のみこの指定が有効になります。ファイルの文字コードはUTF-8のみ有効です。
※-gsオプションと同時指定はできません。
※-gs、-gf両方を省略した場合には、変換元辞書の辞書説明と同じになります。
II 旧バージョンのキー・ローマ字設定を引き継ぐ
■操作
【旧バージョンのスタイルファイルをコンバートする】
- 日本語を使用できるターミナルで次のコマンドを実行します。
$ /opt/atokx3/bin/atokx3stycvttool▲-o▲<変換元スタイルファイル名>*1▲-n▲<変換先スタイルファイル名>*2 ※「▲」は半角スペースを表します。スペースキーを1回押してください。
*1旧バージョンのスタイルファイル名を絶対パスまたは相対パスで指定します。旧バージョンのスタイルファイルはそれぞれ次の場所にあります。
- ATOK for Linuxの場合
/var/opt/atokx2/users/<ユーザー名>/
- ATOK X for Linuxの場合
/var/locale/ja/atokserver/users/<ユーザー名>/
*2ATOK X3 for Linuxのスタイルファイル名を任意の絶対パスまたは相対パスで指定します。
- ATOK for Linuxの場合
【コンバートしたスタイルファイルをATOK X3 for Linuxで使用できるように設定する】
- ATOK X3 for Linuxを使用するユーザーでOSにログインします。
- コンバートしたスタイルファイルを下記ディレクトリへコピーまたは移動します。
$HOME/.iiim/le/atokx3/users/<ユーザー名>/
※$HOMEは、各ユーザーのホームディレクトリです。
【例】ユーザー名が「taro」ホームディレクトリが「/home/taro」の場合
/home/taro/.iiim/le/atokx3/users/taro/ - コンバートしたスタイルファイルの所有者がログインしているユーザーになっていない場合は所有者を変更します。
- ATOKパレットの をクリックし、基本のメニューから[プロパティ(環境設定)]を選択します。
- [キー・ローマ字]シートを選択し、[追加]をクリックします。
[スタイルの追加]ダイアログボックスが表示されます。
- [既存スタイルファイルの追加]を選択します。
- [追加ATOK20スタイル]の[スタイル名]に任意のスタイル名を入力します。
- [スタイルファイル]の右側の[参照]をクリックします。
[スタイルファイルの参照]ダイアログボックスが表示されます。
- ファイルの一覧から手順2.でコピーまたは移動したスタイルファイルを選択し、[OK]をクリックします。
[スタイルの追加]ダイアログボックスに戻ります。
- [OK]をクリックします。
[キー・ローマ字]シートに戻ります。
- 追加したスタイルをスタイル一覧で選択し、[スタイルの選択]をクリックします。
- [OK]をクリックします。